*****2022.12.19(月)*****
モロッコの中ではフェズに次いで2番目に古い街、マラケシュ。ベルベル人による最初のイスラム国家ムラービト朝がこの地を都と定めて以降、キャラバン貿易や商工業が栄え、マドラサなど学問の中心にもなった。長い間、政治や文化の舞台であり続けたマラケシュは、今も雑多でエネルギッシュな雰囲気に包まれている。
(参考文献:地球の歩き方)
今日は、世界遺産にも登録されているマラケシュのメディナ(旧市街)を観光します。
まずは、ベン・ユーセフ・マドラサへ。(50DH=約630円)
マドラサとは、イスラム教の神学校(学院)のこと。11世紀ごろから各地に普及した施設で、モスクに付随していることが多いです。
このマドラサは、1565年のサアード朝時代に建てられたもの。1956年のつい最近まで使用されていたんだって。
マドラサの構造は、だいたい中庭に水盤があって、回廊の脇と2階部分に学生たちの小部屋がたくさん並んでいる。
壁の装飾がめちゃめちゃ綺麗。
タイルや幾何学模様、アラビア文字の装飾が壁にみっちりと施されている。
暗くて分かりづらいけど、壁の奥に3畳もないくらいの小さな小部屋がたくさんあります。
この中で、学生たちが勉強や生活をしていたんだって。暗いし狭いし、とても勉強するような空間には思えないけどね。
イスラム建築って、本当美しい。見てて飽きない。
次は、クッバ・バアディンへ。(50DH=約630円)
この白いドームの建物は、マラケシュの旧市街で唯一残る12世紀のムラービト朝の建物。
ムラービト朝の建物は、その次に興ったムワッヒド朝という王朝によって壊されてしまい、現在のマラケシュにはほとんど残っていない。なのでこのクッバ・バアディンは、ムラービト朝について知る上で重要な建築物なのです。
建造物というよりは、遺跡に近い雰囲気。
時代が古いからか、装飾はほとんどなく、シンプルな外観です。
この施設はモスクの礼拝の前に洗身する場所として建てられたらしく、後に貯水や給水場となったらしい。その遺構が、今もわずかながら残っています。
ドームの中はこんな感じ。
クッバ・バアディンを出る時、チケット売り場のおっちゃんに呼ばれた。
なぜか私の目の前に、ペラペラと50DH札を差し出してくる。
チケット代を払っていないと疑われたと思い、慌ててチケットの半券を見せて「ちゃんと払ったってば!」と主張した。
すると、おっちゃんは「No、No」と首を振るではないか。
おっちゃん「さっきお釣りもらい忘れただろう。ほら、持っていけ」
なんと! これはうっかり。
てか、わざわざ呼び止めてお釣りを返してくれるなんて、なんて優しいおっちゃんなんだ!
私はすっかり忘れていたし、このまま返さずに懐に入れることもできただろうに。
モロッコ人、隙あればぼったくってくる奴らだと身構えていたけれど……意外と良い人たちなのかもしれん。
スークの中を進んでいく。
朝の旧市街は、バイクの通りが多くて少し危ない。細い道を、みんなガンガンスピード出して走っていく。
ムアッシン・モスク。
16世紀のサアード朝の時代に建てられたもの。中には入れなかった。
こんな風に補修をしながら、あの美しい装飾を保っているのね。
モロッコでは、こんな感じでどこにでもパンが売っている。
この円盤みたいなパンは、1〜3DH(=約13〜40円)と破格で買えるから、モロッコ滞在中はたくさん食った。
スークの中をひたすら歩く。
スパイスや衣服、食器や金物までいろんな店があるから面白い。
朝のジャマ・エル・フナ広場。
昨日、あれだけ出ていた屋台がすっかりなくなっていた。あれ、毎日設営してるんだね。
まだ人は少ないけど、蛇使いのやかましい笛の音だけは、懲りずに朝から鳴り響いていた。
マラケシュ旧市街のシンボル、クトゥビア。
約77mのミナレットは、セビリアのヒラルダの塔と並ぶムーア様式の傑作。
現在の建物は1199年に建て直されたもので、昔の建物の基礎部分が今も残っている。
アグノウ門。12世紀、ムワッヒド朝時代のもの。
マラケシュで最も美しい門らしいんだけど、目の前の道路の交通量が多くて、ゆっくり見ることができなかった。
サアード朝の墳墓群へ。(70DH=約880円)
サアード朝の代々のスルタンが葬られている墓廟群。ここは大勢の観光客でとても賑わっていました。
第1の部屋。メッカの方角を示すミフラーブがある礼拝堂。
第2の部屋。「12円柱の間」と呼ばれるらしく、12本の大理石の柱がアーチを支えている。
モザイクのタイルが美しかった。
やっぱ、装飾がめちゃくちゃきれい。
壁にぽこぽこ穴が開いているの、何でだろう?
続いて、エル・バディ宮殿。(70DH=約880円)
こちらもサアード朝時代の建物。のちのアラウィー朝時代に破壊されてしまったので、今は廃墟となっている。
建物は残っていないが、代わりにみかんの木が植えられていた。
めちゃめちゃ広い。
様々な展示があったり、地下の細い通路を通れたりして、なかなかの見応えがありました。
個人的には、マラケシュで一番気に入ったスポットです。
この階段、クッバ・バアディンでも同じような展示を見たので、何かなぁと思って気になっていたのですが……
”ミンバル”と呼ばれるイスラム教の説教壇らしいです。金曜日には、このミンバルで説教を行うみたい。またひとつ、勉強になりました。
テラスへ上がってみた。マラケシュの街って、改めて平野にあるんだと知る。
クトゥビアもよく見えます。
そういえば、テラスの警備員さんに声をかけられて、なぜか一緒に写真を撮った。
「その髪型、可愛いね。とても気に入った」ってさ。
寝癖だらけのボサボサショートを可愛いって言ってくれるなんて、ありがたいじゃないの。お世辞でも悪い気はしないよ。
続いて、バビア宮殿へ。(70DH=約880円)
ここ、宿の人にも砂漠ツアーの兄ちゃんにもおすすめされたんだけど、激混みで写真を撮るどころじゃなかった。
19世紀後半に大宰相の私邸として建てられた、比較的新しい宮殿。
タイルとか色鮮やかで美しいし、庭園も綺麗なんだけど、なんだか物足りない。私は、もっと古い時代の建物にときめくようです。
唯一、Calligraphy(書道)の企画展が面白かった。
前に東京でイスラーム展を見た時にも思ったけど、アラビア文字って芸術的で絵になる。日本の書道に通じるところもあるしね。
意味が分かるともっと楽しめるだろうし、アラビア語を学びたいなぁとは思うんだけれど……旅行中は意外と忙しくて、勉強する暇がない。
再び、スークに戻ってきた。
どこを歩いても同じような景色が続くので、少し小道に入ると一瞬で迷ってしまう。
彷徨っていると、片言の日本語で話しかけられた。
おっちゃん「こっち来て! 俺の店があるよ! ソメモノ!」
あーこれ、工房を案内されて、最後にチップ要求されるやつや。必死に拒否する私。
だが、おっちゃんのほうも諦めが悪く、「フリーだからダイジョウブ!」と半ば強引に誘われてしまう。
まあいいか、と私のほうが折れてしまい、結局ついていくことに。
工房では、染料を見せてもらったり、染めた後の布を触らせてもらったりした。
でも、さらに奥に連れて行かれそうになったので、さすがに「もう大丈夫っす、帰ります」と断る私。
すると、「そうか、また来てくれよ!」と案外あっさり解放してくれた。しかも、チップも要求されなかった。
あれ、もしかして彼は、ただ単純に日本人が好きなだけだったのか?
少し疑いすぎたかもしれん。色々説明してくれたし、チップ渡しておけばよかったのかなぁ……と少し後悔。
モロッコ人、いい奴が多いじゃないか。
モロッコ人の意外な優しさに触れ、この国に対する印象ががらっと変わった一日でした。
※ 為替レートは、当時のもの。1円単位は丸めています。
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