今日からバルカン半島の旅が始まりますが……
最初に、スロベニアのざっくり基礎データを載せておきます!
これからバルカン半島、旧ユーゴスラビア諸国を旅行するにあたり、各国の概要を頭に入れておくと、理解が深まると思いますので。
スロベニアの基礎データ
- 国名:スロベニア共和国
- 公用語:スロベニア語
- 人口:約207万人
- 独立年:1991年(宣言)・1992年(承認)
- 通貨:ユーロ
- 政体:議会制共和国
- 民族構成:スロベニア人 89%、クロアチア人・セルビア人など旧ユーゴ系住民 10%、その他 1%
- 宗教:ローマカトリック72%、その他28%
- EU加盟国
(情報源:Wikipedia)
スロベニアは、旧ユーゴスラビア諸国の中では最も早く独立を成し遂げ、経済水準が最も高いのが特徴。
また、国民の多数がスロベニア人で、民族構成が比較的均一な国家であるいう点がポイントかな。
ちなみに、旧ユーゴスラビアについて少し触れておくと……
- 1943年から1992年まで続いた社会主義国家
- 旧ユーゴを構成していたのは、スロベニア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア、コソボ。
- チトーの指導により、冷戦下で中立政策を維持した。
- チトーの死後、民族意識が高まり各国が独立を図る。独立反対派のセルビアと各国との間で泥沼のユーゴスラビア紛争に発展した。
社会主義国だから東側陣営というイメージを抱きがちだけど……実は、ユーゴスラビアは中立を保ち、西側とも東側とも上手く付き合っていたのだという。
ユーゴスラビアは様々な民族や宗教が入り混じるモザイク国家だったことを、頭の片隅に入れておいてください。
それでは、今日の旅行記をお楽しみください!
*****2023.3.10(金)*****
今日は、世界遺産のシュコツィアン洞窟群に日帰りで行ってきます!
シュコツィアン洞窟群について、少し説明しておくと……
スロベニアのクラス地方にある、世界最大の地下河川渓谷の1つ。クラス地方は、石灰岩地域を指す「カルスト」の語源となった土地でもあり、世界自然遺産にも登録されている洞窟です。
朝8時、リュブリャナバスターミナル。
シュコツィアン洞窟群までは、バスと鉄道で行くことができるのですが……良さげな時間帯があったので、今回はバスを選択。
まずは、Divačaという街を目指します。
チケットは、バスターミナルのチケット売り場で購入。
Divačaまで、€7.9(=約1,110円)でした。
※後日気づくのですが、バス車内で購入した方が安いです。
8:15発のバスに乗車。
スロベニアのバス、どれもフロントガラスに人形が飾ってあるのよね。とても可愛い。
そして、ラジオで延々と流れ続ける陽気なアコーディオン曲。スロベニア音楽って、アコーディオン曲が多いのかしら?
9:40頃に、Divačaに到着。Divača駅前で降ろされます。
なお、ここで降りたのは私一人だけ。
ここでシュコツィアン洞窟群の場所について説明しておくと、Divača駅から約3kmほど離れた場所にあるのよね。
ハイシーズンは、無料のシャトルバスが出ているらしいのだが……
"NO SHUTTLE"だってさ。
まあ、分かってたけど。というわけで、歩き決定!
シュコツィアン鍾乳洞までは、この不思議なキャラクターの看板に従って歩いていく。
大通りを歩き……
住宅街を抜け……
舗装されていないトレッキングルートへ入っていく。
こんな感じの道が続くから、心細かったけど……
犬の散歩をしている人とすれ違って、ちょっと安心した。
途中のビューポイントから見えた景色。すごいわ。
天気予報が雨だったのと、シュコツィアン洞窟内は写真撮影禁止なので、カメラを持ってこなかったのよね。
こんな景色が見えるなら、カメラ持ってくりゃ良かったよ。
シュコツィアン洞窟群の受付に到着!
写真を撮りつつ歩いて、約40分かかりました。道は意外と平坦だったから、それほど疲れなかったな。
チケットは事前にウェブサイトで予約して行ったけど、さすがにオフシーズンは予約しなくても全然平気だった。
私が訪れた時点で、144人も空きがあった。
値段は、€16(=約2,250円)。11:30開始のツアーに参加します。
シュコツィアン洞窟群のツアーは、約1時間半。
洞窟内を約3km歩き、500段の階段を上り下りすることになる。
さらにこの日は、洞窟の出口から地上まで繋がるエレベーターが点検のため休止とのこと。500段+300段の計800段になるってさ。
今日は、めちゃくちゃ歩くことになりそう。
ツアー開始まで時間があるので、併設されている博物館を見学。
シュコツィアン洞窟群の探検に使われた道具などが展示してあった。
今、こうして私たちが洞窟を見学できるのは、探検家たちが洞窟を調査してルートを開拓したからなんだよなぁ。
探検家といえば、大航海時代に新しい航路の開拓をした航海者や、南極点を目指した探検隊、エベレストなどの山にアタックする登山家などをイメージしがちだけど……
洞窟の探索や調査も、立派な探検なんだよね。
探検家って響きカッコいいし、私も探検家になってみたいんだが。
探検家という職業は、現代でも存在するのだろうか。地球上で探索されていない場所って、今でも残っているのかな?
やっぱり深海? それとも宇宙? 宇宙飛行士も、広義の探検家よね。
時間になったのでミーティングポイントに行くと、英語でツアーが始まった。
人数は、30人もいなかったと思う。女性ガイドさんに先導されて、まずは洞窟の入り口を目指す。
これが、シュコツィアン洞窟群への入り口。
ここでガイドさんから、ツアーの概要と注意点などを説明されます。
なお、この先は写真撮影NG。
理由は、フラッシュによってコウモリなどの野生動物に悪影響を与えないようにするため。そして、見学者の安全確保のため。
スマホでコソコソ撮影している若者グループがいたけど、ガイドさんは厳しく注意していました。
しっかり注意してくれるの、フェアで良いよね。とても好印象。
写真がないので……ここから先は、私の見学メモを載せておきます。
- ガイドツアーのルートは、最初の探検家たちが辿ったルートとは反対、洞窟内を流れるレーカ川の流れと逆行して歩く形となる。
- スロベニア語でレーカ(reka)とは、「川」という意味。スロベニア人はネーミングセンスが乏しい、とガイドさんが自虐していた。
- 看板には、洞窟内の気温は12℃と書かれているが、実際は外の気温に左右される。夏は20℃、冬は0℃で川が凍ることもあるという。
- 洞窟内は、あちこちに様々な形や種類の鍾乳石が生えていた。探検隊たちがポキっと折ってお土産に持って帰ったという、折られた鍾乳石の跡も。
- スロベニアで最も大きい洞窟は、実はシュコツィアン洞窟群ではなく、ポストイナ洞窟。
- 奥の谷(たぶんThe Hanke Channel)はガイドツアーの見学ルートには入っていないが、ケイビングの資格を持っている人や、きちんと訓練を受けた人なら見学できるらしい。
基本的には写真NGなのだが……
途中でガイドさんが、「1分だけ写真とってもいいよ!」と許してくれた。
ブレブレすぎて、全然まともな写真を撮れてなかった。ショック。
ふとガイドさんが立ち止まり、言った。
ガイドさん「最初の探検家の気分を味わってみない? ここの電気をすべて落としてみるね」
そう言うと、ガイドさんが手元のスマホをいじり出す。
次の瞬間、通路の電気が一斉に消え、あたりは真っ暗になった。
ガイドさん「探検家たちは、こんなに真っ暗な中を進んでいったんだよ! 私たちがこうして洞窟を見学できるのは、探検家たちのおかげだね!」
シュコツィアン洞窟群のガイドツアーに参加して思ったこと。
世界遺産である以上、遺産や自然保護の観点から、写真NGなどの制約がつきまとう。観光客にとっては楽しみが半減するわけで、ツーリズムの観点から見れば、痛いところではあるけど……
少しの間だけ写真撮影を許可してくれたり、明かりを消すというサプライズを用意してくれたり、ちゃんと観光客を楽しませ、遺産に興味を持ってもらうことも考えられていたことに感心した。
遺産保護とツーリズムの両立がきちんと図られている、とても良い例だよね。
写真がないから感想語っても伝わらないと思うけど……洞窟内、凄かったよ。
日本でも、富士山周辺の風穴とか行ったことあるけどさ。それとは全く比べ物にならん。とてつもなく広いし、深い。
マジで、ゲームの世界観というか。非日常、それとも異世界って表現すれば良いのかな?
これほど規模の大きな洞窟に入ることなんて、普通に生活してたらありえないからね。さらには洞窟内に川が流れている景観なんて、そう簡単に見れるもんじゃない。
間違いなく、人生の中でも貴重な経験になった。
洞窟の出口に到着。ツアー開始からここまでで、ちょうど1時間半。
500段のアップダウンがあったはずなんだけど、ガイドさんがゆっくり歩いてくれたおかげで、それほど疲れは感じなかった。
洞窟を抜けたので、ここから先は撮影OK。
ガイドツアーも終わったので、あとは自分のペースで地上までの300段を登ります。
外に出たら、雨が降っていた。
あたりは霧っぽくて、まともな写真が撮れてないね。残念。
鍾乳洞。ガイドツアーの見学ルートでは、この写真とは比較にならないほど、圧巻の鍾乳洞が見れる。
ようやく地上にたどり着いた!
せっかくなので、シュコツィアン洞窟群の近くにある街?集落?を覗いてみる。
といっても、何もないけど。本当に小さな集落で、売店すらなかった。
あったのは、第二次世界大戦の追悼碑だけ。
もちろん、帰りもDivača駅まで歩いたよ。
シュコツィアン洞窟群を観光される方々。たくさん歩くことになるので、歩きやすい靴と動きやすい身軽な格好で訪れましょう。
Divača駅に到着。
14:50のリュブリャナ行き列車に乗れそうだったので、券売機でチケットを買おうとしたのだが……
スロベニアの券売機、英語に変更できねぇ!
さらには、駅のチケット売り場は閉まってる。
仕方がないので、近くにいた英語ペラペラの若い兄ちゃんに、券売機の使い方を教えてもらったんだけど……
なぜか、14:50のリュブリャナ行き列車だけ検索しても表示されなくて、どうやっても購入できない。
駅員さんに聞いてみたら、「列車の車内で買え」という。
列車に乗車し、車掌さんに事情を説明したら、笑顔でチケットを売ってくれました。
ただし、いつもならカードが使えるらしいのだが、この時だけは使えず、現金払い。(€7.7=1,080円)
券売機でチケットが買えなかったのもそうだけど、やっぱりシステム上のトラブルがあったっぽい。
チケット購入後、車掌さんが一言。
車掌さん「この列車はリュブリャナまで行かないから、途中でバスに乗り換えなきゃいけないんだ」
私「……どういうことっすかね?」
あれ、この列車は確かに”リュブリャナ行き”だったよな? と疑問に思いつつ、事情を尋ねるが、車掌さんはそれほど英語が堪能ではなく、言葉に詰まっている。
うーん、どうしたものか、と考えあぐねていると……
若い兄ちゃん「僕もリュブリャナまで行くんで、乗り換えの時は彼女をリードしますよ」
なんと、さっき券売機で助けてくれた英語ペラペラ兄ちゃんが、すかさず間に入ってくれた! マジで、救世主すぎる!
爽やかイケメン兄ちゃんによると、たぶん点検か工事中かの事情で、途中駅からリュブリャナ行きの振替バスに乗り換えなきゃならないのだそう。
たまーに、こういう日もあるんだってさ。
この兄ちゃんは大学生で、休日だからリュブリャナの実家に帰るんだって。
とても穏やかな印象の兄ちゃんだった。列車内では、ずっと刺繍?ステッチング?をしてて。まさかの手芸男子だったっていう。
完全に自分の世界に入ってたから、あまり喋りかけなかったけど。優しくてカッコよかったなぁ。
1時間ほど列車に揺られ、Logatecという駅で下車。
駅前で5分ほど待ち、やってきた振替バスに乗車。
さらに1時間ほどバスに揺られ、無事にリュブリャナまで到着できました!
リュブリャナにたどり着けたのも、爽やか兄ちゃんのおかげ。ありがとう。
明日は、イドリヤに行ってみます!
※ 為替レートは、当時のもの。1円単位は丸めています。
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