*****2022.12.17(土)*****
午後3時半すぎ。
ホステルでゆっくり過ごしていると、同室のドイツ人女性が話しかけてきた。
「一緒に、ワールドカップの試合を見に行かない?」
すっかり忘れていたのだけれど、今日は”モロッコ対クロアチア”の3位決定戦が行われる日。
モロッコは、先日の準決勝でフランスに負けている。モロッコにとっては、今日の試合が今回のワールドカップを締めくくる最後の試合なのです。
彼女は、メディナ(旧市街)のパブリックビューイング会場に行くみたい。面白そうなので、ついていってみることに。
会場に着くと、すでに試合が始まっていた!
スクリーンの前に大勢人が集まっていて、かなり盛り上がっている。
みんな、固唾を飲んで試合を見守っていた。
広場の前のレストランも、この人だかり。
クロアチアは日本がPKで惜しくも負けたチームなので、個人的にはモロッコを応援していたのだけれど。
試合は。1対2でクロアチアの勝利。モロッコは残念ながら負けちゃいました。
でも、群衆に混ざってみんなで一喜一憂して、とても良い経験になったよ。
今日、私を誘ってくれたのはドイツ人女性のエリーフ。
ドイツ人とトルコ人のハーフらしく、彼女の名前はアラビア語がルーツなんだって。”エリーフ”というのは、コーランに出てくる冒頭の単語と深い関連がある言葉らしく、イスラム国家のモロッコではウケがいいらしい。
彼女は35歳で、まだ結婚もしていないのだそう。前は働いていたが、今は仕事を辞めて旅をしている。旅を始めたら楽しくなって止められなくなったんだって。たまにシーズンで働いてお金を稼ぎつつ、旅を続けている。
親からは、「なんで結婚しないの? なんで子供を産まないのよ?」とせがまれているらしい。私と同じだ。
海外にも、私みたいに結婚もせずに、仕事を辞めて旅をする30代女性がいるもんだなぁ、と驚いた。
エリーフとメディナを歩いていると、ふと彼女が足を止める。
店先にあった麻のジャケット?が気になったらしく、彼女が試着を始めた。
するとそこに、店主の男性がやってくる。
エリーフ「ミラーはない? 姿を確認したいの」
店の男「俺の家の中にあるぜ。入りな」
店の男に導かれ、エリーフは中へと入っていく。私は外で待っていたのだが、なかなか出てこない。
数分して、やっと出てきたかと思ったら、エリーフはすぐにジャケットを置いて、「いらないわ、バイバイ」と声をかけて店を後にした。
歩きながら、エリーフは言う。
エリーフ「あの男、私にキスしようとしたの。ありえなくない!?」
マジっすか。唖然とする私。
「モロッコを旅している中でも、一番奇妙な出来事だったわ」と笑い飛ばすエリーフ。
いや、笑い事じゃねえだろ。
まあ、エリーフは背高いし美人だからなぁ。
その後も、モロッコ人の男性に声をかけられてパーティに誘われたり、エリーフは終始モテモテでした。
エリーフと一緒にサンセットを見ながら、色んな話をした。
正直旅に出るまでは、良い歳をした30代の女が仕事も結婚せずに旅行をすることに、後ろめたい気持ちがあったのも事実。
でも、自立して自分の好きなことを追求しながら生きているエリーフに出会えて、勇気をもらったよ。
私一人では、人の集まるパブリックビューイングには近寄らなかっただろうと思う。
忘れられない経験をさせてくれたエリーフに感謝。ありがとう。
明日は、マラケシュに移動するよ!
※ 為替レートは、当時のもの。1円単位は丸めています。
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