旅エッセイ

【旅エッセイ#1】眠れる国モロッコ、目覚めればきっと開花する。

2023年1月20日

マラケシュ

 

2022年12月から2023年1月にかけて、北アフリカのモロッコを約1ヶ月間旅して回った。

観光地として有名な都市を転々と渡り歩いただけなので、私が各地で見てきたモロッコの姿はほんの上辺かもしれない。それでも、この国を実際に見て歩き、改めてモロッコが可能性に満ちあふれた場所なのだとを強く感じた。

この国は将来、アフリカの経済発展や国際的な地位向上を牽引していく多大なポテンシャルを秘めている。

今はまだ、おとなしく眠りこけているのかもしれない。だが、この国が目覚めた時、世界中があっと驚くような大躍進を見せるという予感を、私はこの国に抱くのだ。

 

 

マップ

モロッコの位置(Google Mapsより)

 

モロッコが秘めたポテンシャル、その1。地理的な優位性

モロッコが位置する場所は、大西洋と地中海に面したアフリカの北西の端。アフリカの北の玄関口であることに加え、ヨーロッパや中東からも距離は近い。海運や陸運の要所に位置しており、貿易や人材の移動を活発に行なうための地理的優位性は高いといえる。

歴史的に見ても、ローマ時代には属州が建設され、大航海時代にはポルトガルがモロッコの海沿いに城塞を築き、アフリカや南米進出への拠点とした。歴史を紐解けば、モロッコが地理的にかなりのアドバンテージを持っていることは明白だ。

 

エッサウィラ

エッサウィラのスカラ。ポルトガル時代の城壁が残り、イスラムの街並みとヨーロッパの軍事建築が融合した景観が見れる。

 

 

モロッコが秘めたポテンシャル、その2。肥沃で温暖で、広大な土地

私はこの国を訪れるまで、”モロッコは砂漠の国”だと思っていた。見渡すかぎり茶色い砂の荒野が広がり、不毛で荒々しい自然に満ちている。そんな勝手な想像を抱いていた。

確かに、私が最初に訪れたモロッコの南の地域──特にサハラ砂漠に近い地域では、想像通りの美しい砂色の風景が広がっていた。だが、旅を続けてモロッコを北上していく中で、私の中のモロッコに対するイメージは打ち砕かれてゆく。

 

モロッコ

ラバト – シャウエン間のバスの車窓から見た景色。緑豊かな畑が広がっていた。

 

バスの車窓から見える景色は、一面の畑。冬の季節にもかかわらず、緑が鮮やかな平野だった。

調べてみると、モロッコは意外にも農業大国。トマトや柑橘類が主な農産品で、フランスやスペインなどのヨーロッパ諸国に輸出し、モロッコの経済に大きく寄与している。また、海に面したモロッコでは、アフリカ最大の水産国としてイワシやタコを各地へ輸出しているという。

他の北アフリカ諸国の経済が石油や天然ガスなどのエネルギー資源に依存する中、農業や漁業といった複数の基盤産業を持ち、ある程度の食料自給率を維持できている点は、経済的にも健全な状態にあるのではないだろうか。

 

また、モロッコには、まだ未開の土地が多く残されている。何を造るにしても、まず必要なのは土地だ。

水不足や南北(都市部・地方部)の格差などの課題はあれど、今後さらに街や工業地帯が建設・拡大されていく条件のいくつかは、すでに揃っていると思うのだ。

 

ラバト

ラバトで見た景色。首都ラバトですら、これほどの土地が残されている。

 

 

モロッコが秘めたポテンシャル、その3。比較的、安定した治安

他の北アフリカ諸国が経済をエネルギー資源に頼っていることは先に触れたが、エネルギー資源は紛争の火種となりやすい。隣国のアルジェリアやリビアの治安が安定しない要因のひとつには、金を産むエネルギー資源の利権争いも含まれているはずだ。

北アフリカ諸国の中では、モロッコの治安は比較的良いほうで、観光客も多く訪れる。イスラム圏ということでテロの危険性も拭えないが、今のところは安定している。私には、モロッコのエネルギー資源に頼らない経済構造が、この国の治安維持に少なからず貢献していると思うのだ。

治安が良ければ、投資も集まりやすい。発展のために必要な資本を稼ぐ環境は、他のアフリカ諸国に比べても十分に整っている。

 

マラケシュ

マラケシュのマジョレル庭園。まだコロナの不安が拭えない中、観光客で賑わっていることに驚いた。

 

 

モロッコが秘めたポテンシャル、その4。言語

モロッコで広く使われている言語は、フランス語アラビア語。モロッコの学校教育では、この2言語を学習することになる(実際には、この2言語に加えてベルベル語も学ぶ)。

フランス語とアラビア語は両方とも、国連で用いられる公用語だ。フランス語は、英語の次に国際的な場で頻繁に使われる言語。また、アラビア語の話者人口は世界5位と意外にも高く、その人口は増加傾向にあり需要は高まっている。

私たち日本人は、日本国内でしか通じない日本語を母語とし日々使う。そして多くの学生たちが苦労しながら、日本語とはまったく造りの異なる英語を第二言語として学んでいく。

日本人の私からしてみれば、フランス語とアラビア語という2つの言語を日常的に使用するモロッコは、語学教育の面でかなり恵まれた環境にあるのではないかと思うのだ。そして、日々の暮らしの中で複数の言語を操るモロッコ人の地頭の良さ、とても恐れ多い。

 

(ティトゥァンで知り合ったフランス人夫婦に教えてもらったことだが、実際にはアラビア語のみ喋り、フランス語を話せない現地人も多い。言語の習得状況は、収入や住む地域、世代や職業などによっても大きく異なると思われる。)

 

モロッコ

マラケシュの学校の看板。アラビア語、フランス語、ベルベル語が併記されている。

 

 

とまぁ、ここまでモロッコの可能性について、少し堅苦しい話をつらつらと述べてきたのだが……。

ただひとつ、モロッコのさらなる発展において足枷になっている要素がある。そう、旅を続ける中で感じた。

 

僭越ながら、モロッコ人に対して言いたいこと。それは……もうちょい早起きして、真面目に働け。

(いや、ニートの私が言うのもアレだけどさ。)

 

 

フェズ

フェズの宿で頂いた朝食。この宿の朝食は9時からだった。

 

私がモロッコを訪れて、最も衝撃を受けたこと。それは、とにかく朝が遅いことだった。

宿の朝食は、8時からが基本。だが、時間通りに食堂へ行っても、部屋は真っ暗で誰もいない。暗闇の中でモロッコ人が出勤してくるのを今か今かと待つのが、私の毎朝の日課になっていた。

ラバトの宿のオーナーの起床時間は、午前11時。チェックアウトの手続きをする気もなく、朝早く出るのなら「鍵だけ置いて、自由に出て行って構わない」という。

モロッコ人の時間感覚には、ほとほと私も呆れるばかりだった。

 

モロッコ

ティネリールのカスバ。修繕を繰り返しながら、建物を保存している。

 

ティネリールのカスバで、ベルベル人ガイドが語っていた話。

砂や粘土に藁などを練り込んだ壁は、この土地の気候や暮らしに合っている一方で、定期的に修繕をしなければならないという。手入れが行き届いていない建物も多く、保全のために工事は続けているのだが、何しろモロッコ人は真面目に仕事をしないので、その工事がいつ終わるかも分からないという。

気が向けば働くし、気が乗らなければ無理せず休む。彼らは、そんな感覚で仕事を進めていた。

 

時間の感覚は、その国の文化のひとつでもある。モロッコの独特の時間感覚について「悪い」とは言わないし、むしろ時間に縛られた日本人こそ見習うべきなのかもしれない。

だが、裏を返せば、まだモロッコにはそれだけ眠っている労働力や労働時間があるということ。モロッコの国民全員が、あと1時間早く起きて日暮れまでみっちり働いたとしたら……この国は恐るべき発展を遂げるかもしれない。そんな風に思ったりもするのだ。

 

(比較的、女性は朝から活動し働いている印象を受けた。この時間感覚には、宗教的な背景があるのかもしれない。)

 

エッサウィラ

エッサウィラでワールドカップを観戦した。

 

2022年のカタールワールドカップにおけるモロッコの活躍は、記憶にも新しい。ワールドカップを通じて、モロッコという国の存在を改めて認識したという人も多いのではないだろうか。

サッカーを通じてその存在感を世界に知らしめたように、モロッコが今後さらなる飛躍する日はきっと近い。

眠れる国モロッコ。目覚めれば、きっと花開くよ。

 

 

(参考文献)

住友商事グローバルリサーチ:注目集めるモロッコの経済を分解してみた

 

※ 旅行中のため、時間をかけて深く調べられておりません。とりあえず旅中に感じたことを忘れないよう、勢いでしたためた文章です。実際のモロッコの産業や文化等については、帰国後にしっかり調べた上で、再度内容を修正したいと思っています。何卒ご理解・ご了承ください。

 

 

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